鮮半島から山陰東部や近畿北部あるいは北陸西部方面に伸びる帯状の震域が見られます。
この小低気圧の渦は、規模は小さいながらも、激しい突風を伴うことがあります。一九九〇年一月に京都府の丹後半島付近で、七千トン級の大型外国貨物船が座礁し、重油の流出で沿岸に大被害が出たことがありますが、この遭難の原因について、元舞鶴海洋気象台予報課長の黒田雄紀氏が、帯状雲の中に発生した渦によるものと報告しています。
風とは別の面では、季節風時には降雪があり沿岸の生活に影響を与えます。この時期は気温より海面水温の方が高く、海面からの蒸発が盛んになり雪雲を発達させ、雷を伴うことが多くなります。また、降雪により視程が著しく悪くなることにも注意しなければなりません。
三、害の低気圧と裏の濃霧
冬の低気圧は、日本海の北部や中部を東進して、北海道の東方で発達することがほとんどですが、春先になると、黄海から進んできた低気圧が日本海西部に入って、
急速に発達することがあります。「春一番」といわれる南寄りの強風をもたらすのがこの例です。また、本州の南岸を進みながら非常に発達する低気圧も出てきて、日本海西部にまで強風をもたらすことがあります。表では、四月にも海上暴風警報が発表されていますが、これはこのような急発達する低気圧によるものです。
さて、表の海上風警報、海上強風警報の発表日数でみると、夏の日本海西部は比較的穏やかな季節といえるようですが、この時期は海上濃霧警報の発表日数が多くなることが特徴で、六月と七月では月のうち二十日あまりに達しています。日本海の霧は、冷たい海面上に暖かい空気が流入して発生する場合が大半で、風は弱いことが条件です。細分海域のうちでは、比較的海面水温の低い日本海北西部での発生が多い傾向が見られます。
なお、沿岸海域や若狭湾内でも霧が見られることがありますが、これらの多くは、陸上で発生した霧が海上に流されたもののようです。
四、台風
夏から秋にかけては比較的穏やかではありますが、台風に対する警戒が必要になります。
夏の台風は進路がさまざまであり、傾向を一概には言えませんが、過去に日本海西部に接近したものとしては、九州、四国や紀伊半島に上陸してやや勢力が衰える例が多いようです。表の七月、八月に海上台風警報の発表が見られるのは、一九九一年の第九号、一九九二年の第十号および一九九三年の第七号によるもので、これらの台風は、九州に上陸または接近したものの強い勢力を保って、山陰沖西部海域に入って来ています。
秋の台風で日本に接近するものは、進路の傾向として、九州の南海上や東シナ海で転向し北東進することが多くなります。前述の三つの夏台風の進路はこれに似ていたわけです。近年は台風の発生数や日本への接近数が多い傾向にあるようですが、日本海西部においても、毎年のように台風の影響を受けています。表では海上暴風警報、海上台風警報の発表日数のピークが九月に出ています。
一九九一年九月の第十九号は、大型で非常に強い勢力のまま山陰沖を通過し、各地に暴風の被害をもたらしました。日本海西部に入らず本州南岸を進む台風でも、勢力によっては日本海西部に東から北の強風の影響が現れます(一九九〇年第十九号など)。
海上警報は二十四時間先までの予想を含めて発表しますので、台風がはるか南海上にある場合でも海上暴風警報等が発表されることがあります。いずれにしても、常に最新の情報を入手されるようにお願いいたします。
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